入院中の無聊


手術が終わって、傷口の消毒などの手当や回復を待つ間の入院期間は、時間を持て余すものである。ましてや、椎間板ヘルニア切除手術の後の暫くは、自由に歩くことも出来ず、ベッドに寝たきりで、点滴や体温・血圧測定などで定期的に入室してくる若くて美人の看護師たちとお喋りするくらいが慰めであった。

七年前の脳内出血で入院した時は、家から碁盤と碁石を持って来て、棋譜並べをする楽しみがあったが、今回はベッドの上に座ることも出来ないので、楽しみと言えばテレビを見ることと本を読むことくらいであった。

今回の入院は2週間たらずの短期間であったが本は結構読んだ。国枝昌樹元シリア大使の「イスラム国の正体」は、内部情報が取材出来ない謎の団体を、いろんな角度から眺めて解説した興味ある書物であった。他に松本清張の推理小説を3冊、我が家の書棚から河出書房の日本文学全集の中から、久しく読んでいなかった船橋聖一の長編「花の生涯」を読みきった。若い看護師達が、どの時代の誰を主人公にした小説かも、船橋聖一の名前も聞いたことがないと言い合っているのにはガッカリした。

他に自室に備え付けのテレビを見ることだが、日頃ツマラナイ番組ばかりと敬遠している身にとっては見るべき番組がない。主にニュース番組やニュース解説が多かったが、テレビを見るのはタダではない。院内備え付けの販売機からカードを買って来て受像機に差し込まねば受信出来ない。カードは\1,000.で1000度数、これで20時間見られたが、消費税が8%になってから、同じ\1,000.で971度数、19時間25分と世知辛くなっている。

有料でテレビを視ると聞いて忽然とサラリーマン時代に出張でビジネス・ホテルに泊まった時を思い出した。自室のテレビは無料だったが、アダルト・テレビは有料であった。確か一編\250.位だったと思う。友人が出張の度にこれを楽しみにしていたが、出張清算で宿泊料を請求する時にホテルの請求書を付けることを義務付けられているが、このアダルト・ビデオ視聴料がホテル利用料に併記されており、課の庶務の女の子から蔑みの目で見られるばかりでなく、課内に言い触らされて困ったと言っていた。ホテルに別請求とするよう掛け合ったが不成功だったらしい。以降、出張先のホテルでアダルト・ビデオを視る社員はいなくなった。

\1,000で20時間近く視られるのは結構安い印象があるが、私のようにニュース番組だけの視聴者でも度数が結構早く下がって行くのが目に見える。CMが始まる度にテレビを消して、本番だけ見るよう努力しても、2週間足らずの入院中に\2,000を使いきってしまった。

無聊な入院生活の暇潰しでも、結構高くついているのである。




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