芸能記事の資質の変遷



以前の新聞や雑誌の芸能記事は、俳優の演技力や表現力、歌手の歌唱力や声の質、映画や演劇の内容の評価などを解説するものが中心であった。その記事の内容から、芸能記者は長年の経験と高度な知識・見識を持つ評論家に近い人だったに違いない。

現代は、そのような質の高い芸能記事が消えて、芸能人の結婚や破局、離婚、不倫などスキャンダルが中心となり、芸能記者とはスクープを追う私立探偵のような存在で、芸能そのものの専門的知識を持たない職業になっている。

芸能界と言えば、本来は映画・演劇の俳優や歌手、落語・漫才の噺家の集団であるが、芸能記事の内容がスキャンダルを追求する結果、スクープ記事の対象がファッションモデルや女子アナ、スポーツ選手や果ては政治家にまで枠が広がっている。男も育児休暇をと発言した若手政治家が、妻の出産入院中に不倫を働いていたことが明るみに出ると、本来は政治記者の職場だった議員会館に芸能記者が押しかけ、芸能記者が国会議員を取り巻いて取材する時代となった。

少し前の歌舞伎や能狂言の役者は、伝統芸能の格式を重んじてマスコミの前に出ることはなかったが、今では同様に引張り出されて芸能記者に私生活を監視されている。

スポーツ紙が、裏面に細々と取り扱っていた芸能ニュースを、スポーツのオフシーズンの記事の穴埋めとして拡大したのも一因であろうが、やはりこの種のスキャンダラスなニュースはテレビの力が大きい。

今では芸能記者は芸能レポーターと名前を変え、セレブの私生活を追いかけるだけで、我が国の芸能文化向上に無関心な存在となっている。





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