今日読み終わった本―「落日燃ゆ」



『落日燃ゆ』 城山三郎 新潮文庫 昭和49年

東京裁判で絞首刑を宣言された七人のA級戦犯の内、ただ一人の文官であった元総理、外相広田弘毅を主人公とした物語。戦争防止に努めながら、軍部の抵抗に遭い、その軍人たちと共に処刑されたという、まさに不運な小説的な人物の伝記として読んだ。

また、戦争に批判的で、その言動も良く知られていながら極刑を受けた理由は何か、今まで読んだ極東軍事裁判の記録では良く理解出来なかったので、小説としてはどんな観点で描かれているかに興味があり、一時代前の古い作品ではあるが、図書館のお蔵入りした蔵書室から取り出して貰った。

作者、城山三郎の数々の評論は月刊誌などで良く読んでいたたが、評判作が多いにも関わらず小説として読むのは初めてであった。ストーリーが全く架空の世界のものでないノンフィクションだけに、小説というよりは昭和史の一断面を改めて知ったとの印象が強かった。

物語は終始、広田は戦争には批判的であったとの側面から書かれている。二・二六事件や大戦の口火となった中国での関東軍の動き、南京事件、真珠湾攻撃なども小説の背景としては触れられているが、中には数行で出てくるだけで、全編広田の外交官時代、外相・総理時代の活躍が主体である。

悲劇の主人公としての側面から描かれているので、戦争には手を出していないのに、文官として何故処刑されねばならなかったかの疑問に答える部分はなく、むしろ極刑は不当だったと言いたい内容であった。



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