今日読み終わった本―「戊辰戦争」

『戊辰戦争』 佐々木 克 著 中公新書 昭和52年1月初版

“敗者の明治維新”の副題が付いている。明治維新とは、従来の閉鎖日本を解放し、現在の発展した社会への転換期だったというのが日本国民の一般的な常識である。しかし、これは明治維新を実現した薩長が作った新政府により、明治維新は成功だったと教え込まれて来た一種の偏向教育の産物である。

従って、幕末から維新へ至る物語には、明治維新政府側から見たものが多い。薩長を「官軍」と呼び、旧幕府側を「賊軍」と色分けしている。数ある幕末史や物語はこの立場から述べられている。ところが、本書はその副題にあるように、「敗者」から見た幕末維新史である。

この立場に立った代表的な物語に、早乙女貢の「会津士魂」がある。会津藩の志士を主人公にした全13巻の長編で、題名の通り「賊軍」の目から見た物語である。私は幕末・維新を舞台にした小説で最も感銘を受け、もう一度読む機会を求めているが、今度読んだ「戊辰戦争」は小説ではない。著者は文中で、この本は研究書ではないと断っているが、豊富な史料を収集し、それでいて今まで取上げられることが少なかった敗者側からの史実を中心にした学術書で物語性はない。

戊辰戦争と言えば、鳥羽・伏見の戦いから五稜郭の戦いまで、薩長の策謀による一連の戦いであるが、この時代を舞台にした多くの物語や解説書が余り重点を置かずに素通りしている奥羽(東北)戦争や鮮烈極まる北越戦争に多くのページを割いたユニークな本である。

この本を読んで、東北戦争で中立を保とうとした長岡藩の河井継之助が主人公の司馬遼太郎の「峠」を読みたくなった。


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