「こんな時代もあった」と見る時代


ノーベル平和賞受賞者の中国の劉暁波氏が、当局に拘束されたままで死亡した。中国政府の対応について国際的に批判が高まっている中で、中国政府は「法を犯したものは誰でも処罰を受けねばならない」と述べ、「他国からの批判は内政干渉」と突き放している。

劉暁波氏の罪名は、国家転覆罪である。同氏の平和運動は、現在の中国の体制と法に反すると取られた措置であろう。日頃、法治国家とは名ばかりで、人治国家といわれる中国で、この時ばかりは法の名を振りかざすのは手前勝手な言い分だが、現実にそのような法律があり罰則規定がある限り、中国政府の説明に間違いはない。ただその法律に「人権」が無視されているところが国際世論と相容れないポイントである。

このような野蛮な措置は、問答無用の中国だけの独特のお家芸のような印象を受けるが、実は劉暁波氏に似たような処遇を受けたのは身近に例がある。例えば、吉田松陰も国家転覆罪(倒幕)で検挙され、劉暁波氏のように病気で医師団の延命処置を受けるどころか、30才の元気な身空を伝馬町牢屋敷で斬首された。残忍さは今の中国の比ではない。

拘留中にノーベル平和賞を受賞したが牢死した人に、ナチス治世下のカール・オシェツキーという人がいたという史実が、今回劉暁波氏の死去で再び日の目を見ている。オシェツキーにせよ吉田松陰にせよ、現代の平和な時代から見た悲劇の人物として歴史に名を連ねている。

劉暁波氏も、「我が国にもこんな暗黒な時代があった」と歴史に名を残す人物として想起される平和な中国の時代が近いことを願いたい。




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