役所は文書を廃棄しない

東京勤務の現役時代、霞ヶ関のお役所に行くことが多かった。主に当時の通産省か大蔵省へ許認可申請書類の受け渡しか、時たま先方より情報提供の呼び出しに応じた場合である。ぶっ通しの広いフロアに異なる部署のデスクが混在していて、壁際の棚には厚手のボール紙に挟んで黒い紐で綴じた分厚い書類が何段にも積み上げられていた。お役所特有の光景であった。

担当官の話では、これら多量の書類はほんの直近の数ヶ月分で、一定期間後には地下の広大な文書保管庫に移される。主要な書類には付箋がついていて、必要な書類はいつでも見付かると自慢していた。まだパソコンがない時代だったが、膨大な文書の保管スペース確保のため、当時はマイクロフィルムが多用されていた。「役所というものは、必要な文書はいつでも取り出せる特別な技能を持っている」とも言った。文書は過去のいきさつの証明手段として役所や役人の保身手段のため重要視されていたのである。前例踏襲を基本とするお役所には、このDNAは現在に至るも引き継がれている筈である。

廃棄して存在しないと国の最高機関である国会で言い張った南スーダンの日誌、森友学園の国有地売却交渉、陸自のイラク日報は案の定ゾロゾロ出て来た。本来なら国会での虚偽答弁として糾弾されるべきものだが野党は無力である。

公文書廃棄規定は、内部では保有しているのが明らかでも、公開を憚る文書は外向けには廃棄したと言える隠れ蓑の手段である。

役所には文書を廃棄する風習はない。役人には先任達から営々と引き継いだ文書保管の重要性が染み付いている。

役人がいくらシラを切って廃棄したと言う文書も役所には必ず残されている。公の場で「ない」と言い切った以上、出さないだけの話で、どこに保管されているかは先刻承知しており、わざわざ内部調査するというのは見せかけだけである。






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