ここまで頑張って来て何故?



徒然草の中の有名な話の中に、「高名の木登りと言いし男、人をおきてて高き木に登せて梢を切らせしに・・・」というのがある。確か、小学校高学年か中学生になって学校の授業で習ったもので、今でもここまでは原文が出て来る。多分間違ってはいないと思う。

要するに、人を高い木に登らせた男が、梢を切っている人が高い場所にいる時は黙って眺めていて、その人が家の軒くらいまで降りて来た時、「気をつけて降りろ」と注意した。そこまで降りて来たなら、飛び降りてもケガはしない筈なのに、何故今になって注意するのかと聞くと、「高いところにいると、誰もが恐れて注意しているから何も言わなかったが、間違いは易しいところにあって必ず起すもの」と答えたという。兼好さんは、この木登り名人は身分が低いにも関わらず、言うことは聖人のようだったと感心した話である。

徒然草のこの段を学校の教科書に採用されたのは、まさに未来ある若者への教訓となるうってつけの題材で、私も生涯忘れない教えであった。日本人なら誰もが身に付けた教訓である、いやその筈であった。

ところが、霞ヶ関では財務省・文科省を中心に次官・局長クラスの幹部が不祥事で逮捕されたり、失職するケースが後を絶たない。いずれも難関のキャリア試験に合格し、優秀な業績を挙げた結果、官僚の中では最高位との地位まで登り詰めた人達である。それまでは、何の失敗も法に違反することもなく、堅実な仕事振りと業績で築き上げた地位であり、真面目な人だった筈である。

それが、銀座の高級クラブや高級料亭で接待を受け贈収賄の罪に問われるとか、セクハラを起すなど、誠にツマラナイ理由で長年築き上げた人生をぶっ壊してしまったのである。

組織の最高位に近くなれば、人間の弱さが露呈するのか、「間違いは易きところにあって必ず起こし」てしまった例でもある。








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