サンマの季節到来

今年、本州初のサンマ水揚げのニュースが大きく報じられた。昨年に比べ漁獲量が増え、形も大振りと明るい展望を含んだ報道であるが、記録的な不漁だった昨年と比較した話であり、水産庁の調査では今年も4年連続の不漁と予測している。

サンマと言えば庶民の食用の代表との響きがあり、冷凍技術の発達した現在では年中食べられるが、やはり秋を代表する魚である。私は魚の中でも、青モノと言われるサバ・イワシと共にサンマは大好物の一つである。但し、煮物・焼物・刺身などバラエティに富んでいるサバ・イワシと違って、サンマは塩焼き一本である。最近は刺身も出回っていて美味だが、塩焼きには遠く及ばない。

焼きたて熱々のサンマに大根おろしとレモン汁をかけるだけだが、これほど徹底している単純なレシピは少ないだろう。佐藤春夫の「サンマの歌」にも、“そが上に青き蜜柑の酸(す)をしたたらせてサンマを食うは、その男がふる里のならいなり”とあり、この下りを詠む度にサンマを焼いた煙の名残を感じる。

私の中学生時代、詩の朗読コンテストがあり、各自好きな詩を事前に申請することになっていた。但し、重複は禁じられ届出順に受け付けられるので、“千曲川旅情の歌”とか、カール・ブッセの“山のあなた”、ヴェルレーヌの“秋の陽のためいきの”など有名な作品は直ぐに受付停止になった。私も何度か却下され、最後に内容的に不味いかなと思いながらおそるおそる「サンマの歌」を申請すると案の定、「中学生にふさわしくない不倫の詩」と言下に却下された。

内容はともかく、“あわれ秋風よ、情(こころ)あらば伝えてよ”の冒頭や、最後の“サンマ、サンマ。サンマは苦いか塩っぱいか”は詩のリズムとして迫って来るものがある。サンマの塩焼きを食べる度に頭の中に浮かんでくる。

そのサンマは、まだこれから9月から11月にかけてが旬である。4年連続の不漁の予測が外れて、ふんだんに店頭に並んで安く提供されることを願うばかりである。




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