金足農旋風と判官贔屓感情


夏の高校野球で準優勝を達成した金足農高野球部に、秋田県が県民栄誉章を授与すると発表した。「県民に夢と感動、希望を与えてくれた」のが理由であるが、本来なら一地方のニュースに過ぎない報道が全国ニュースになるのは、日本ならではの国民感情がありそうである。

確かに、秋田代表が103年振りに準優勝旗を獲得したのは偉業であるが、本来は甲子園春夏二回連覇を達成した大阪桐蔭高校の優勝はそれ以上のニュース・バリューがあった筈である。にも関わらず、結果的にはメデイアの報道に注がれた力点、報道量の点で金足農は大阪桐蔭の影を薄くしてしまった。過去の準優勝校への過度な扱いが、これ程過熱し優勝校を凌駕した例は少ない、というより殆どない。

その理由が、決勝戦で完膚なきまでに叩かれた金足農への同情という日本人特有の「弱きを助け強きを挫く」の言動に対し喝采する心理だけではなさそうである。もし、金足農が東京や愛知、大阪など大都市を有する都府県の代表だったらここまで注目されたか。地方代表でも2001年に近江高校が滋賀県勢で始めて決勝に進出し、日大三に破れて準優勝した時は、大会が終われば地元紙以外は殆ど記事にならなかった。

今回の金足農ブームは、秋田という日頃注目を浴びることの少ない県の代表という、ある意味被差別的な、「弱者の位置に立たされた者に対する無意識な同情」という感情が流れているのではないか。これを日本人の古来からの“判官贔屓”という言葉で説明される。

金足農に対する県民栄誉賞は秋田県だけでなく、日本国民にも感動と希望を与えるものとして全国ニュースになったに違いない。

先般のサッカーW杯ロシア大会で、MFの乾選手が2ゴール1アシストと活躍し、日本の16強入りに貢献した。彼は滋賀県近江八幡市の出身である。この功績のため滋賀県知事は県民スポーツ大賞特別賞、近江八幡市長は市民栄誉賞を授与した。しかしこの記事は、大手新聞の地方版で報じられただけで、金足農の県民栄誉賞のような全国ニュースにはならなかった。

この意味で金足農高に対するメディアの扱いは、秋田県だけでなく日本全国民に対するものと位置付けたものと思う。



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