「上級国民」は日本人感情



日本人の誰もの意識の中にあっても、敢えて文字で表現されることがなかった「上級国民」なる言葉が市民権を得ようとしている。東京池袋で自動車事故を起こした加害者が元高級官僚であったので逮捕されず、前後して神戸で事故を起こした市バスの運転手が現行犯逮捕されたのが不平等としてネット上で話題になった言葉である。

日本の一般庶民の間では昔から“長いものには巻かれろ”と権威の前では無抵抗を是とする文化があった。士農工商の時代からの格差意識が受け継がれている。学校教育で教えられたものではない。親や大人達の行動様式、映画やテレビの時代劇の中から無意識に身に付けたものである。従って、普遍的な感情だったため直接的な言葉で表現されることはなかった。それが、匿名で好き放題に意見を述べるSNSやネット上に登場して一挙に拡がりを見せた。既存の「一般国民」との言葉の対比から生まれたため、特権階級・富裕層などの意味合いがある。

ただ「上級国民」に対する具体的な定義はない。憲法の“法の下では平等”の条項の中で、“社会的身分の如何により差別されることはない。栄誉・勲章を貰っても如何なる特権もない”とある。池袋事故の加害者が元通産相工業技術院の院長だからと言って、本来逮捕されるべきものが逮捕されないことはない「筈」である。ところが、「ない筈」のことが現実に起こっている。

ネット上ではこの問題に炎上しているが、ではどうすれば良いかの解決策はない。今までは、旧来からの日本の文化で泣き寝入りしていたのが、ネット上で騒ぎ立てるようになっただけでも前進である。新聞やテレビでは今までのところ報道材料にはしていないようである。

相前後して、英国BBCニュースで「日本人の賞賛すべき忍耐術」の長文の記事が出た(こちら)。世界的に有名な東京の通勤地獄を、毎日平然と耐える都民を例にして、“日本の子供たちは、如何にガマンするかを教え込まれている。厳しい時代に対処するための忍耐力である。このガマンが社会の秩序を保っているのか、或いは社会の暗い側面を暗示しているのか”といろんな角度から日本社会を論じている。「上級国民」と言い放すだけで、結局ガマンして諦めるのが日本人社会かも知れない。



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