今日読み終わった本―「幕末明治、新聞ことはじめ」



今日読み終わった本:

『幕末明治 新聞ことはじめ』 奥武則 朝日新聞出版 2016年12月

今は世界や国内の社会の動きを、テレビや新聞、インターネットなどで居ながらにして知ることが出来る。ラジオやテレビが普及するまでは新聞と人の口コミの噂が情報伝達の媒体だった。その他に、高札というのが古くからあったが、これは法令や告知を施政者から庶民への通達が主でニュース性は薄い。

従って、広く民衆が得る情報とは江戸時代の瓦版からであり、これが今の新聞の走りとされている。現存する瓦版の最も古いものは大阪冬の陣の戦記や東西両軍の布陣図があるという。

本書の副題は“ジャーナリズムを作った人々”とあり、我が国のジャーナリズムという人間の営み、情報収集や伝達、論説という報道活動を社会にもたらした人々の業績を紹介したもので、新聞そのものの歴史を追ったものではない。

日本の報道活動を瓦版から新聞の普及に発展させたのは、黒船と同様、やはり欧米文化の導入によるもので、「新聞の父」と言われるジョセフ・ヒコ、本名彦太郎と呼ぶ船員だった。乗っていた船が暴風雨で遭難して米国商船に助けられ、アメリカで教育を受けたとされ、ジョン万次郎と似た生涯である。彼が米国での新聞の影響力に感化されて帰国後に日本で新聞活動に乗り出した。

彼の他、外国人領事館など横浜や神戸、長崎など外国人居留地で新聞が当時唯一の情報源として重用されていることから、それを模倣して日本語版の新聞を普及させた人とか、ハンサードとかブラックというジャーナリズム畑の英国人居留者の働き、彼らから啓蒙を受けて新聞発行を手掛けた日本人の話が本書の各章を構成している。外国人を含めて全8名の活躍の物語である。

各章の主人公としては取り扱われていないが、幕末・明治維新の物語には必ず出て来る英国公使館のアーネスト・サトウも登場し、「みだりに市井の風聞を信用せず、大衆迎合に向かわず、事実を記すことを通じて歴史に耐える紙面を作る」と現代のジャーナリズムが目指す提言も紹介している。

殆ど知られていなかった人達の物語で珍しい読み物であった。




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