「ヒゲ」雑感



私のヒゲは固いが少ない。いわゆる“剃り跡が青々とした”濃さではなく、逆に薄いヒゲである。それでも毎日剃らねば見苦しい。“ジジムサイ”は本来京都弁だが、全国で通じるらしい。“爺臭い”から来ているといわれ、年寄りじみた意で、ヒゲを剃らない不精ヒゲは“ジジムサイ”印象を与えるので毎日剃ることにしている。

若い頃に、一人前に洗面所の鏡に向かってヒゲを剃っている姿を見て母親から「消しゴムで消した方が速い」と嫌味を言われたことがある。今でも鏡に向かってカミソリや電気シェバーで剃っているが、実は鏡の中の自分の顔やヒゲは見ていない。その代わり、掌の指が目の代わりをしていて剃り残しがないか手触りで確認している。鏡の中を見るのは、モミアゲの際剃り(キワゾリ)の時だけである。

最近、黒い筈のヒゲが白くなっているのをたまたま鏡の中で見つけてショックを受けた。髪の毛が白くなっているのは理髪店で確認しているので、ヒゲも白くなっていたのは当然だろう。これでは毎日剃らないと益々ジジムサクなる。

漢字に接し始めたのが小学校に入る前、まだ旧字体の時代だから字画の多い漢字、それも最近のテレビのクイズ番組に出て来る日用語で使用しない奇をてらったものでなく、当時の新聞や本に多用されている複雑なものを、面白半分に選って覚えたものである。“顰蹙”とか“薔薇”、“憂鬱”などがその一例である。子供の頃に覚えたので今でも筆順の正誤は別として手書きすることが出来る。最近改めて脚光を浴びた“改竄”も同様である。

ところが“ヒゲ”の漢字は誤って覚えていた。ヒゲには“髭”(くちひげ)、“髯”(ほおひげ)、“鬚”(あごひげ)と夫々ヒゲの部位によって違った文字がある。英語でも単語によって使い分けている。その“くちひげ”の下の字を「此」でなく「比」、“ほおひげ”の下を「冉」でなく「再」と間違って覚えていた。いずれも書く機会がなかったため気付かなかったが、このヒゲの三つの異なった漢字はパソコンの変換でチャント出て来たからである。

自分のヒゲが白くなったのに気付いたのと同様、新しい発見であった。




この記事へのコメント

この記事へのトラックバック