別の時代でなかった優生保護法


幸いにして自分の親兄弟、親戚の中で障害者がいなかった環境に育った私は、旧優生保護法とは別世界の話と理解していた。自分の時代のことではなく、歴史の中の汚点ぐらいの意識しかなかった。それが、最近の仙台地裁による旧優生保護法に関わる判決で身近なものだったと思わせたのである。

旧優生保護法は1996年(平成8年)まで日本国民を縛っていた。私の現役時代は、この法律がまだ有効なままに付いて廻っていたことに初めて知ったのは迂闊であった。それ程自分とは離れた存在と思っていたのである。

内閣府の統計によれば(最近は政府統計と言われると真偽を疑う気持ちになるが)、平成30年度の我が国の障害者数は約940万人(身障者436万人、知的障害者108万人、精神障碍者393万人)で、国民の7.4%が何らかの障害を有しているとある(内閣府“障害者の状況”こちら)。

優生保護法は、障害者に対する中絶・避妊・断種手術を合法化した法律で、戦後の過剰人口問題の調整、母体保護による観点から導入されたものとされている。運動を進めたのは加藤シヅエなど女性議員の主導とある。ただ、障害者が妊娠すれば障害児が産まれるとは学術的にも統計的にも立証されておらず、「親が知的障害の原因となる素因を持っていても、それが子供に必ず遺伝するわけではなく、遺伝しても必ず発現するとは限らない。つまり親が知的障害だからといって必ず子どもが知的障害になるわけではない」との専門家の意見もあり、これが立法の理由にはなっていなかったらしい。

ところが今回の訴訟は、障害者が障害児を産む恐れがあるとして強制避妊されたことにある。裁判は旧優生保護法は憲法に抵触するとの初の見解を出したが、救済立法の必要性を認めながらそれを怠った国会の責任はないとする矛盾した裁定を出した。ここでも、司法が政権寄りの姿勢を覗かせている。

米国では避妊・中絶禁止の動きが顕著である。最近もアラバマ州で25人の男性議員が中絶禁止法案を上程し、「妊娠する能力のない男性連中が、避妊・中絶禁止にシャシャリ出るのはお門違いだ」と女性議員から猛反発を喰らっている。こちらは加藤シヅエのような女性議員の主唱者を持って来なかった戦略上の失敗のようである。






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