今日読み終わった本―「日本会議、戦前回帰への情念」



今日読み終わった本:

『日本会議 戦前回帰への情念』 山崎雅弘 集英社新書 2016年7月

本書の表紙裏に、「欧米メディアが“日本最大の右翼組織”と報じる日本会議。安倍政権の閣僚の半数以上が日本会議と直接的に繋がる議員団体の属する中、日本の大手新聞・テレビは両者の関連性をほぼ報じて来なかった」とある。ここでいう欧米メディアとは、米国のワシントンポストやニューヨークタイムズなど、世論をリードする高級紙の名が挙げられている。

これに対して日本では、安倍政権と日本会議の深い関係について、「大きな記事として最初に取り上げたのは中日新聞系の地方紙“東京新聞”、他に神奈川新聞がある。週刊誌では週刊現代、AERA、週刊金曜日など多くが何度も載せているが、対照的に大手新聞各紙と民放テレビ局、NHKは不可解なことに殆ど報道しなかった」とある。日本の大手メディアが取り上げなかった理由については深く触れていない。本書の目的は、その理由解明ではなく、殆ど知られていない日本会議そのものについて詳しく紹介することにある。

日本会議は、戦時中の日本軍の悪行を全て正当化し、太平洋戦争そのものも自衛のためであり、中国大陸や南アジアへは侵略ではなく、西欧の植民地政策を解放させるための正義の戦いだったと美化し、ましてや南京大虐殺は作り話と主張する。その根底にあるものは、国家神道崇拝にあり、神社本庁や神道政治連盟など右翼保守の裏にうごめく組織まで光を当てている。

日本人の精神構造は、神武以来の古来から受け継がれたとしながら、実際には明治維新以降に導入されたのが右翼思想である。その硬直した一面的な考え、日本だけは特別な国であるとして国際社会から孤立することも辞さない考えにはうすら寒さすら覚える。諸外国から疑問視される偏った歴史認識の理由も判るような気がする。

教育勅語などの教育面、靖国問題など多方面の運動を可能な限り取り上げ詳述するなど、本書を一読すれば右傾化の著しい現政権の戦前回帰への意図が伺える味わい深い本であった。内容は日本会議の右翼思想を批判する姿勢ではなく、客観的な立場に立って、豊富な実例を挙げた純粋な研究報告である。現代の日本人に広く読まれるべき好著である。



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