ラグビーの煩雑なルール
若い頃から、自分の体力では対応出来そうにないと本能的に避けて来たラグビーだけに、関心が低かったためか、未だに詳しいルールを知らない。テレビの実況で解説者が折に触れて説明してくれる範囲内なので、ルールに対する知識は一貫性のない断片的なものである。何故スクラムを組むのかは未だに判っていない。
今度のワールドカップで、ゲームと直接関係のなさそうなニュージランドチームのハカという行為も国際ラグビー連盟で公式に認められたもので、一定のルールの下に披露される儀式であることを知った。ニュージランドの他に、サモア・フィジー・トンガのみに認められていて、チームの士気鼓舞のため他のどの国でも取り入れて良いものではないらしい。ハカが先住民族の伝統を継承したものとして認められたものである。
ハカは自軍に気合を入れるのと、戦いを挑む相手を威嚇する意味合いがあるのに加え、相手に敬意を払うものとして、紳士のスポーツに相応しいとされているが、怖い顔をして歯を剥き出し睨みつける行為からは余り信じられない気がする。
ハカで挑戦を受ける相手は、10メートル以上離れてニュージランドチームと相対するのがルールとされている。真面目にハカの威嚇を大人しく受けて立つのもラグビーの紳士的な姿勢といて微笑ましい。以前、「勝手に踊っていろ」と無視して受けて立たなかったチームがあり、ルール違反と罰則を喰らった例もあるらしい。
ところが今回のW杯で、準決勝でニュージランドと相対したイングランドが、V字型のフォーメーションを組んで対峙し、両端に並んだ選手6名がハーフウェイラインを越えたのはルール違反として連盟から罰金を言い渡された(英国BBC電子版こちら)。
ラグビーのルールは複雑だが、競技以外にもこんなルールがあったのである。ところが、この罰則はニュージランドからの苦情を受けたからではない。当のニュージランドは「イングランドの行為そのものは何ら問題ない(No problem at all)」と受け流したという(英紙ガーディアン電子版こちら)」。誠に紳士らしいラグビーチームの清々しい対応ではないか。