検察庁法改正案、国会での成立見送りへの原動力



検察幹部の定年延長を可能にする検察庁法改正案の今国会での成立見送りが決定された。元々、黒川元東京高検検事長を次の検事総長に据える目的で法の解釈変更を閣議決定したのが発端になっている。この曲解とも言える解釈変更を正当付けるための改正案だった。


その根源となった閣議決定の内容すら、その後の国会での安倍首相の説明まで法務大臣も官僚も知らなかったらしいという疑惑が残っている。つまりそれまでの法務省の解釈は首相説明と差異があり、以降の法務省関係者の答弁は以前と変化して首相説明に合わせたものになったり、森法相の国会答弁がしどろもどろになった事実でも推察される。極めつけは、閣議決定前に法務省で相談されたと言われる文書は、実は後から辻褄合わせに作成された疑いがあることである。


黒川検事長の定年延長を合法化するための検察庁法改正案が強引に国会審議入りされるとネットで、「#検察庁法改正案に抗議します。」タグ付きツイート数は1千万件近くに達した(ニュースウィーク日本語版)。これが現在の国民の大きな声として政府を動かしたとされている。


しかし、それ以上に政府にボディブローになったのは、何と言っても元検察トップらが「検察庁のあるべき姿に重大な影響を与える懸念がある」との意見書だろう。その全文は(こちら)にあるが、そこに至る経緯は毎日新聞デジタルの『ロッキード世代の意地、14人の怒れる元検事決起』に詳しい(こちら)。何しろ、ロッキード事件で当時の最高権力者の田中首相を逮捕まで漕ぎつけた猛者連の意見書である。現政権に影響を与えない筈はない。意見書は発起から提出まで僅か4日間、「国会採決が迫る中、時間との闘いだった」と緊迫した説明がある。


この談話の中で、「当初はもっとネームバリューのある人が新聞やテレビで反対を表明してくれることを期待した」とあるがどんな人のことだろう。「何十もの弁護士会が声を上げても検察関係者は黙ったまま」とあるので、検察庁の現役上層部が頭にあったに違いない。しかし、現役は自己の昇進や収入確保で家族を守る責任がある。つい殻に閉じこもりがちである。ロッキード世代に比べ人間が小さくなっている。そんな中での当時の検察のOBの声である。最も大きな力を及ぼした意見書であった。


安倍首相としても、当の黒川氏が表舞台から消えたので将来の検察総長構想は消滅した。ご本人も検察庁法改正にヤル気を失くしたのが国会成立見送りの最大の原因だったに違いない。




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