一寸ガッカリ、NYタイムズのOp-Ed コラムの姿勢



NYタイムズにOp-ed のコラムがあり、毎号4~5件の論説がある。このコラムは、どの新聞にもある「社説」が新聞社の代表意見を述べているのに対し、社内でも別の意見を持つ論説委員の寄稿を紹介する署名入りの言わば少数意見コーナーであり、社外の評論家も含んでいる。一方に偏向しないジャーナリズムの姿勢を示すもので、どちらを支持するか読者の判断に委ねている。Opposite Editorial が語源で、今では米国の一流紙にもある。


そのNYタイムズ63日付のOp-Ed欄にトム・コットン上院議員の意見を電子版で掲載した。内容は、過剰な取り締まりで黒人を死亡させた警官の暴力と人種差別に抗議する全米各地に拡がった大規模なデモに対し、「軍隊を投入せよ」と題して「暴徒の集団には圧倒的な力の誇示が必要である」と主張するもので、トランプ大統領の主張と軌を一にするものであった。


NYタイムズはCNNと同様、反トランプ姿勢で、常々大統領からフェイク・ニュースの発生源と非難されている。今回の大規模デモ騒動に軍隊を投入するトランプ大統領に反対の論陣を張っていたが、Op-Edコラムでこれに相反するコットン論文を掲載したのは流石に報道の中立を守るものとNYタイムズの編集姿勢に敬服していた。


ところが、この記事の掲載は多くの読者や社内の猛烈な反発に遭い、抗議のため出社しなかった記者も出た他、社内の従業員の800人以上が寄稿には情報の誤りがあるとして強く非難する抗議文に署名する騒ぎとなった。


NYタイムズも当初は「Op-Ed欄は多様な見解が反映されるとして、寄稿の掲載は本来あるべき姿で正しい判断」としていたが、「主張内容はNYタイムズの基準を満たしておらず、掲載すべきでなかった」と後日謝罪と訂正記事を掲載し、2016年以来指揮をとっていたオピニオン面編集長が辞任し、副編集長が異動となった。


出典:BBCニュース電子版(こちら英文)


社説と相反する意見の紹介が主旨のOp-Ed欄であるが、テーマが現在全米を騒がしている抗議運動の中で、今回の寄稿者の『警察官が暴力の最前線で最も被害を受けている』という主張は裏付けがない誇張であるとの意見や編集部の付けた見出しの「軍隊を送り込め」は扇動的で一流紙として使われるべきでなかったとの指摘に動かされたようである。


Op-Edの主旨と社の主張との両立は、時には辣腕編集長を失う社としての損失という難しい問題を抱えている。







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