「帰れ」と言った時代と「帰るな」という時代



全国的にコロナ感染者が増え続ける中、岩手県だけが全国ただ1県、いまだに感染者ゼロが続いている。連続記録を更新し続けることは、スポーツなど勝負の世界でも判るように、反って重圧になる。岩手県では、「第1号になりたくない」、「最初の感染者を出したくない」と他府県に住む肉親にも「絶対帰るな」と呼び掛けているという。


本日の毎日新聞朝刊が伝えた(こちら)。「岩手1号になるとニュースだけではすまない」として「帰省した子が感染していたら、田舎では直ぐに噂が広まり何が起こるか判らない」という。未婚の妹が嫁に行けないとの切実な心配もあるらしい。事実、今日別のネットニュースでは長野県で長野銀行の職員が感染したことを公表したら、銀行の窓ガラスが割られたと報じられている。


この記事を読んで、忽然と50年前に大ヒットした下記の二つの歌謡曲が脳裏に浮かび出た。青木光一の「早く帰ってコ」と松村和子の「帰って来いよ」である。


一つは、青木光一の「早く帰ってコ」

『♪おふくろも 親爺も みんな達者だぜ

炉端囲んで いつかいつしか東京の

お前達二人の話に 昨夜も更けたよ

早くコ 早くコ 田舎に帰ってコ

東京ばかりが なんで良いものか』



もう一つは、松村和子の「帰って来いよ」

『♪きっと帰って来るんだと

お岩木山で手を振れば

あの娘は小さくうなずいた

茜の空で誓った恋を

東京暮らしで忘れたか

帰って来いよ 帰って来いよ 帰って来いよ



田舎の生活は苦しい。多数の若者が東京に仕事を求めて雪崩れるように移動した時代である。二つの唄に共通しているのはメロディの明るさだが、その奥底から何とも言えない寂しい気分が滲み出ていることである。


田舎に残った者は、すべからく東京に行った肉親に逢いたい、帰って来て欲しかったのである。歌詞の中で、「帰れ、帰れ」と絶叫している。ところがコロナ時代の今は、「帰るな」と叫んでいるのである。どんな悲痛な思いで叫んでいるのか、想像するだけで胸が痛くなる。





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