東芝、ノートパソコン事業を完全手放し



三年前に東芝が同社のパソコン代表作、「ダイナブック」をシャープに売却してパソコンファンを仰天させたが、まだ20%の株式を保有していた。その保有する残りの株式をこの程シャープに譲渡し、「ダイナブック」を完全に手放してしまった。「ダイナブック」とは東芝が世界で初めて発売したノートパソコンである。


1983年に初めて欧米市場に発表し、その後日本でも販売開始。携行可能なパソコンとして爆発的な人気を獲得し、2000年までの17年間連続ノートパソコンのシェア第1位を占めていた(その間、1994年の1年だけコンパックに首位を奪われている)。


私が東京勤務していた時はまだパソコンは一般的でなく、英文タイプライターと同じ配列のキーボードを持ちながら日本語に漢字変換出来るという驚異のワードプロセッサが発表された。シャープの「書院」、富士通の「オアシス」、日本電気の「文豪」などが代表的なモデルだったが、1982年に東芝から発売の「RUPO」が持ち運び可能なモデルとして登場した。事務効率に貢献するところ大として会社から推奨されたが、一機60万円もするので手が出ない。会社からは、管理職に限り毎月一定額を給料天引き、一部代金補助で現物を先行配布した。天日に晒されると印字が消える感熱式用紙が、コトコトとゆっくり印刷される器械が今から思うと効率化とは程遠いが、事務所内では斬新なツールだった。


数年間、RUPOを使い続けたが、本社での海外代理店講習会に参加のため来社した営業マン数人が、ラップトップと呼んでいたPCを持参し、その性能を披露してくれたのを見て驚嘆した。パスワードという言葉を教えてくれたのはその時である。まだ日本には導入前の「ダイナブック」だった。


その後日本にも徐々にパソコンが普及したが、ノートパソコンはブラウン管モニター付きデスクトップより高価で手が出なかった。従って、私の会社でも家でもパソコンはIBMのデスクトップでノートPCに替えたのはその後随分経ってからである。但し、そのモデルはサポートの良いNEC製に統一している。そんな訳で「ダイナブック」を使った経験はない。