巨大な圧力団体に解散要求



戦後、GHQによる日本の財閥解体指示にも匹敵するような動きが米国で出て来た。米国最大で最強の圧力団体、全米ライフル協会(NRA)に対するニューヨク州司法長官による解散提訴である。司法省の要求だから、ことはその方向に進むような感触を受けるが、NRAはそんなヤワな団体ではない。大統領の支持も得ている強力な圧力団体である。


NRAは全米の銃製造・販売業者、銃愛好家5百万人の会員を擁する米国有数のロビー団体である。米国のどこかで毎週発生する銃乱射事件も、余程の大規模な犠牲者を出さない限り、記事にもならない日常茶飯事となっているが、凶悪で大規模な銃乱射事件が起こる度に、銃規制を求める運動に対抗し乗り越えて来た団体である。憲法で銃保持の権利が認められているのを錦の御旗として、「銃が人を殺すのではない。人が人を殺すのだ」をスローガンに、その大きな発言力で銃規制運動を抑え込んで来た。一方、サンフランシスコ市からは「国内テロ組織」として認定されてもいる。


「我が行くところ敵なし」の強力団体も、時が経ち組織が肥大化すると共に、内部に腐敗の芽が蔓延って来る。NRAと聞けば我が国でも似たような圧力団体であった「解放同盟」を想起するが、幹部の間で似たような腐敗が顕在化したようである。今回、司法長官による「NRAの数年間の不正行為に対して、組織全体の解散命令を求める」もので、「幹部4人が違法で圧政的で詐欺的なNRAの私的金融取引や不適切な管理、怠慢な監督という文化を生んだ」というものである。幹部4人で3年間に6400万ドル(約67億6千万円)以上が失われて、汚職が広範囲に及んでいるとされている。


上記NY州司法長官の訴訟とは別に首都ワシントンの司法長官も同じ主旨で提訴した。NRAは提訴に対して、「根拠のない計画的な攻撃だ」と反発している。


出典:BBCニュース(こちら英文)


州の司法長官の提訴といえども、相手はトランプ大統領の絶大な支持を受けている強力な団体である。オバマ大統領が涙を流しての銃規制制定の訴えを何度も袖にして来た。しかも今回は、市民に大きな被害と犠牲をもたらした銃乱射事件とは関係のない、一非営利団体の経理の問題である。世論の支持がどれだけ得られるか、巨大組織解体の展望は明るくはない。