我々は字が書けなくなっている



スポーツ選手やタレント、「時の人」がよく色紙やフラップに揮毫させられてテレビの画面に披露する場合が良くある。将棋の藤井翔太さんが「二冠」と書いて見せたあの類である。テレビ画面や新聞写真に披露された文字を見て、我々日本人は文字を書く基本を失ってしまったとの感を強くする。


かなり昔の話になるが、月刊誌文藝春秋に当時の政党党首の筆跡の品評記事が出たことがある。個人名を出して失礼だが、福島瑞穂氏の筆跡は女学生が書くマル字が党首になる年齢まで残っていたのに対し、小沢一郎氏のそれは筆黒々とした堂々とした達筆で、その対比が鮮烈だった。雑誌記事には、ご本人の能力ではなく学校での初等教育の差とあったと記憶している。


今は立派な大人になった娘が小学校に入りたての時に鉛筆で字を書いている姿を見て驚いたことがある。鉛筆を人差し指と中指の間に挟んで掌を握り拳にして書いている。吃驚して親指と人差し指で鉛筆を挟むよう矯正したが、学校ではこう習ったと強弁する。今では正規の持ち方になっているが、娘の友人には大人になっても人差し指と中指で挟む癖が抜けなかった人もいると言う。


正しい文字が書けなくなったのは、小学校で習字の比重が低下した精だと思う。正しい運筆や筆順の教育が出来ていない結果だろう。


現役の頃、企業訪問をする海外からの来客を応接する時に、中国からの来訪者に限って記帳して貰っていた。北部の東北三省や南部の広東省・雲南省の違いに関わらず、いずれも見事な達筆だった。筆の持ち方も日本人と少し違って、筆を垂直に抓んで持って書く方法は共通していた。社会主義中国でも文字を書く作法は古来から引き継がれていることを目の当たりにした。


かく言う私も、若い頃は看板や書信の代筆を頼まれる程の力量があったようだが、今は無惨な程に崩壊し悪筆の見本になっている。パソコン時代に入り、文字を書く機会がなくなったのが輪をかけている。唯一の助けは、色紙に揮毫を頼まれる程大成しなかったことで恥を晒す機会もないことである。


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