未解決の不祥事を残して辞めた首相



米国トランプ大統領が安倍首相辞任に対し最大級の惜別の賛辞を寄せたこともあってか、欧米のメディアは概して首相の業績を評価する論調が見受けられるが、その中でNYタイムズが「安倍晋三、数々の不祥事の跡を残して辞任」と相反するような表現の見出しで記事を掲載したのが目を引いた。


いきなり本題を離れるが、この記事は毎日メールで送られて来るNYタイムズの見出し一覧から見付けたものだが、記事そのものは同紙と提携している他紙からの転用である(こちら)。NYタイムズから来信の見出しをクリックしても記事は一瞬にして消えてしまう。今は有料購読(と言っても週50セントだが)でないと読ませてくれない。そんな訳で同じ見出しで検索すれば提携他紙のサイトから同じ内容が見られる。


記事は、安倍首相が慢性的な持病に苦しんでいた事実を述べているが、にも関わらず休みも取らずに働き続けたとの公式発表にいきなり疑問を呈している。「この発表には不審がある。国民にはコロナ対策や経済再生で首相が働き過ぎた印象は全くない。むしろ何もしなかった」と手厳しい。


次いで、森友学園・加計学園・桜を見る会問題で、疑惑を解明する姿勢は全くなく証拠隠滅の形跡が次々と露呈。次いで、河井案里議員を当選させるため1億5千万円を投じて支援した、憲法を無視して臨時国会開催の野党要求を拒否したなど、我々日本人は誰でも知っている不祥事が次々と登場する。記事の最後は、「はっきりしていることは、これら数々の不祥事に対する国民の説明責任要求を避けて、慌てて官邸から逃げ出したことである」と決め付けている。英文での記述だけに新鮮味すら感じさせる。


流石にNYタイムズらしい論評と感じ入ったが、記事は上智大学政治学教授中野コウイチ氏の寄稿とあった。今までは国際的な発信は皆無だった日本から、海外には知らされなかった日本の恥部を吐露して国際世論に問う姿勢と、その記事を受けて立ったNYタイムズの姿勢を賞賛したい。