メーカの開発努力による成果が食い物に



今年の10月1日より酒税法の改訂で、ビールは減税されるが、第三のビールと言われる新ジャンルは大幅増税となる。昔からビールの税額は高く設定されており、350㎖缶入りでは平均販売額195円の内、税額は77円、実に約40%が税金である。


若者のビール離れの傾向に危機感を持ったビールメーカは、法の規定を巧みに潜り抜けて、税率の低い発泡酒を開発し売り出した。従来のビールと比べ遜色のない味と喉ごしでブームを起こし、価格の安さと相俟って従来のビールの売り上げ量を凌駕する人気商品となった。これに目を付けた財務省は発泡酒の税率を上げ、小売り価格で従来のビールと変わらなくなった。この時点で既に財務省はメーカの汗水流した開発成果を机上計算するだけで失敬していたのである。その結果、発泡酒の売り上げは激減した。


メーカは発泡酒の販売減を補うために、更に新製品開発努力を重ねた結果、税率の低い新ジャンルと呼ばれる第三のビールを開発した。庶民は少しでも安いビールを求めた結果、その遜色のない味が人気で、たちまち販売量でビール・発泡酒を追い越した。


第三のビールが好調と見て、財務省はこちらに目を付け、10月1日より1缶当たり税金10円の値上げを行う。その代わり、従来高率だったビールの税金を7円引き下げる。これで、ビール離れの傾向を少しでも改善し、売り上げ好調な第三のビールから税金を取り立てる算段である。


どんな業種でも、メーカは新製品開発に多大の投資を伴っている。第三のビールの現在の好調な売り上げで初期投資が回収されたかどうかは判らない。しかし今回の大幅アップの結果、最終販売価格がいくらに設定されるか不明だが、過去の発泡酒の売り上げ急減の二の轍を踏みそうなのは目に見えている。


コロナ禍で業務用ビールの消費が激減、第三のビール値上げで庶民の需要が減れば元も子もない。お役所も取れる所から取る安易な姿勢を脱却し、もっと庶民の立場に立って広く消費を喚起して経済発展に寄与する政策が立案出来ないものかと思う。