米最高裁判事の死と一国の司法



衆院選挙の際、最高裁裁判官任命の国民審査でも誰がどんな人か判らず、白紙のまま投票してしまうのが普通である。これで合法的に承認したことになる。日本の裁判官ですらこうなので、最近死去した米国最高裁のギンズバーグ判事とはどんな人か全く知らなかった。


今回の訃報に関連して同判事の卓越した頭脳と見識、特に差別撤廃のため数々の功績を挙げた実績を知ってその存在の偉大さに驚嘆した。今日は彼女の残した足跡をテーマにする訳ではないので詳細は(こちら)を参照。


今まで米国最高裁判事は9名で、保守派5名、リベラルと称される自由主義派が4名とほぼ均衡していたが、リベラル派の代表である彼女の死去により3名となった。トランプ大統領はこの機会に乗じて自派の保守派から選出する運動を始めている。一方の民主党は、大統領選挙が近い現段階で後任判事は新しい大統領が決まった後で選出すべきと反対している。


本来、司法の独立で時の政権の意向に左右されないのが原則であるが、かって日本でも安倍政権に近い黒川東京高検検事長を法を曲げて定年延長し検事総長に据えようとした動きと良く似ていて、米国でも同じ目論見があると見える。ただ、ギンズバーグ判事の来歴に見られる通り、司法とは時の政権の権力に屈せず独立した判断と行動が求められるものである。日本でも明治の昔、大津事件でロシア皇太子暗殺未遂事件を外交上の問題から犯人を死刑にすべきとの政府の意向に対し、司法的判断から無期懲役として三権分立意識を国民に植え付けた立派な実績もある。


米国最高裁判事は一旦任命されれば任期なしの終身資格というのに若干異論があるが、任命に当たっては大統領の指名だけで決まるのでなく、その候補者が公聴会で演説して承認を得、その後上院で審議するなどの民主的な手続きがある。米国上院は大統領の共和党が野党の民主党より4名多いので可決される公算は高いが、その共和党から現在2名の反対表明があり、なお態度不明の議員がいて事態は流動的らしい。


日本では大臣に指名されても米国や韓国のように公聴会の関門がなく、その制度があれば大臣有資格者は出て来ないし、また与党からも大統領意見に反対表明をするなど日本の議会では考えられない民主的な運営がされていることが判る。