米国最高裁の姿勢




今日のワシントンポストの配信で、
「Supreme Court denies Trump allies’ bid to overturn Pennsylvania election result. (米国連邦最高裁、ペンシルベニア州選挙結果を覆そうとするトランプ陣営の訴えを却下)」の記事が目を引いた。早速、日本の新聞にも報道されている。


日本の最高裁判事を選ぶ選挙でさえ、投票用紙に印刷された候補者の名前に目を通すことなく、盲でノーマーク投票してしまう程、興味がない。ましてや米国の連邦最高裁など、どんな組織でどんな機能を持っているか、全く関心がなかった。そんな我々の注意を引いたのは、この秋に89才で亡くなった米国史上2人目の女性判事、ルース・ギーズバーグの「私の後任は新しい大統領が任命すべきだ」との一言が世界の反響を呼んだ背景である。ギーズバーグ判事は長年の最高裁判事としての活動で、多くの米国民に慕われた米国司法界リベラル派の英雄との最高の評価を得ていた。

米国最高裁の判事は終身制で定年がなく、本人の死亡か自主的退任、弾劾される以外は欠員が出ない。現在の定員は9名で、現在はその内保守派が5名、リベラル派が4名とほぼバランスがとれた陣容だった。その内、リベラル派のギーズバーグ判事死亡による欠員をトランプ大統領が保守派を任命し、近く実施される大統領選で自分が破れた場合に最高裁で覆す意図を持っていたのである。ギーズバーグ判事はこれを懸念し、自分の後任を任期が近い現行の大統領でなく、新しく選出された大統領が任命すべきと主張したのである。これが合法的であり、広く米国民から支持されていた。ところが、トランプ大統領は期限ギリギリに強引に予て自分を支持していた保守派のエイミー・パレット女史を任命してしまったのである。


こんな背景があり、人々の関心が急激に米国連邦最高裁に向けられていた。案の定、トランプ大統領は選挙に敗れ、各州の裁判所に選挙無効の訴訟を起こしたが、ことごとく却下された。そこへ今回初めてペンシルベニア選挙に対する最高裁の判定が出たのである。


米国最高裁には、自己の主張を殺し、あくまで法を守り通す精神が貫かれている。自分を任命した大統領の意向に沿うことはない姿勢があり、過去には自分を任命した大統領に反抗した判事もあった。今回もトランプ大統領が任命したパレット女史も、大統領の意向に沿うことはなかったのである。


これが米国最高裁の姿勢である。無理に黒川東京高検検事を定年延長してまで検事総長に据えて政権の意のままにしようとした日本の司法界との違いが改めて浮き彫りになった。