NHKラジオ番組、AM「第1」と「第2」統合



昨日の毎日新聞夕刊の「近事片々」欄(新聞の題字の下)にこんな記事があった。「公共放送のあり方に関わる。NHK、語学番組多いAMラジオ「第2」を「第1」と統合へ。これでいいのか」。


何だか不平がましい不満そうな表現である。NHKラジオ第二放送の英会話教室は長寿番組である。私が初めて接したのは、中学校に入った時で、平川唯一の「カムカム英語」と呼ばれた番組だった。番組のテーマ音楽が「カムカム・エブリバディ」と証城寺の狸囃のメロディで始まるのでそう呼ばれた。今のように文法が基本でなく、会話一辺倒で実用性があった。


中学を卒業してメーカーに入社後暫くして、後で常務にまで昇進した技術課長が、将来は海外に製品販売を展開すべきで、そのためには英語が必須であるとの先進的な考え方を持っていた。沖縄に製品販売するのも対米輸出と同じ手続きが必要な時代だったのである。そのために、当時としては珍しいリール式の録音機に、毎日の「カムカム英語」を収録し、毎昼休みに有志を集めて聴かせていた。出席者は主に技術課か生産課など事務系の社員ばかりだったが、品質管理課に所属していた友人の勧めで私も入室したことがない工場長室隣の会議室に毎昼出席した。機械油に沁みた作業服を着て事務服の出席者の中に出るのは気遅れがしたので、入口近くの末席が私の定席だったが、流石に目立ったらしい。暫くしてリーダーの技術課長が仕事中に私の作業場に声をかけに来たこともある。


以来、ずっと「カムカム英語」教室には慣れ親しんだ。あくまで口語の実用会話が主体であったが、その後この番組は大学入試のための色合いが濃くなり、どの語学講座も文法中心で、番組を聞いても外国語が話せるようにはなっていない。


工場長室横の会議室の出席者の中から、後に会社の米国法人の社長となって赴任した人もいる。また、世界を飛び回って活躍する社員も多く出た。「カムカム英語」で育った人は多かったのである。


「カムカム英語」のような指導内容が続けば、今の日本人はもう少し英語が話せるようになっている筈である。従って、モノにならない講座をいくら続けてもムダな話である。毎日新聞の「近事片々」の執筆者が嘆くような番組ではない。「第1」と「第2」が統合して長寿番組がなくなっても我が国に損失を及ぼすことは何もないと考える。