壮大な人体実験



最近の毎日新聞デジタルに、「行動制限下の応酬で大型コンサートが開かれている理由」の見出しによる記事があった。コロナ禍で自粛が強化され、音楽やスポーツなどの大型イベントが軒並み中止になっている中で、大観衆を集めたコンサートが開かれた。場所はオランダ・アムステルダムの音楽会場で1300人が集まった。


目的は、コロナ感染者が増え続ける中で大型イベント再開の条件を探るため、オランダ政府とイベント業界による実験イベントの一つである。つまり大型イベントが本当に感染者を増やす原因になっているのかを究明するためで、いわば人体実験の様相がある。結果は、イベント後の新型コロナ検査が徹底されなかったことや、調査報告書の検証が不十分だったこと、実験イベント参加者へのリスクの周知が不徹底だったことなども分かって結論は出なかった。ただ、2~4月に実施した約20の実験イベントをまとめた報告では、事前の検査で陰性だった人が参加する場合、屋外なら「通常の50~70%の観客数」、屋内で着席の場合は「適切な換気を行えば、通常の5割の観客数」にすることで、感染リスクを一定程度、抑えられるとの知見を得たという。


同様の実験はスペインでも行われた。バルセロナで3月、総合病院が協力し、5000人の観客を集めた大規模な室内ロックコンサートを開催。着席しないスタンディング形式で、参加者はマスクを着用。観客間のソーシャルディスタンスは求めず、酒類を提供するバーなどを設けた。2週間後の検査の結果、コロナ陽性者は6人で、うち4人の感染経路は会場外、2人は経路不明だった。


大型イベントが感染懸念のため中止や規模縮小で関連産業が大打撃を受け、世界のコンサート業界は昨年3.1兆円の収益を失った試算もあったが、結果的には当初予想されていた程の影響はなく、自粛は単なる心配材料に過ぎなかったようである。この辺り、コロナ騒動初期の頃に日本でパチンコ店を締め出したが、未だにパチンコ店でクラスターが発生した実績はないのに似ている。


この発表に力を得て欧州各国で大型イベントの人体実験が進められている。多くの反対署名運動が展開されているが、業界・政府共強気の様子らしい。日本も五輪開催可否の重要な参考情報として注目している筈である。


出典:毎日新聞デジタル(こちら