民主的で判り易い候補者選び





この秋の衆院選に自民党は世代交代を目してベテラン議員が勇退、新規に後継者を立てるが、多くの場合は息子や親族に地盤を譲って世襲議員を増やすことになる。国会議員はことある毎に、国民の信を得て選出された国民の代表と胸を張るが、そこで言う国民とは選挙区の有権者のことである。


但し、世襲議員の多くは必ずしも選挙区民の信を得た訳ではなく、選挙区民は先代、先々代からのしがらみに止む無く応援せざるを得ない場合が多い。かって祖父からの世襲で三世議員だった赤城徳彦元農水大臣という人がいた。事務所経費の不正会計で槍玉に上がり、顔に絆創膏を貼って国会で釈明し「絆創膏王子」と揶揄されて有名になったが、地元の茨城選挙区では「祖父の家系に他に人物はいないのか、こんな男でも担がねばならんのか」と評されたと伝えられている。


かかる選出方法がまかり通っている中、自民党でも民主的な選出を行っている県連があることを知った。長崎県連で、現職(73)の不出馬表明を受けて後任候補を公募し、11人が応募。書類審査で6人に絞られ、選考委員会での面接後、委員27人による投票で過半数を得て選出したというのである。従来の自民党では見られなかった方式で、透明度の高い選考過程と方式で感嘆した。選出された候補者は安倍晋三前首相の政策秘書で親子三代に亙る世襲なので、本来は何かと批判を受けそうだが、選考過程の透明度の高さが疑念を解消している。


米国や欧州、韓国では公聴会制度というのがある。候補者を決定する場合、本人の政策発表、出席者からの質問に対する答弁の内容により出席者が賛否を決める方式で、今の日本の閣僚や議員は公聴会制度の難関を切り抜けられる人物は皆無だろう。自分の所見を発表するにも下を向いて書類を朗読し、予めどんな質問を出すかを要求し、その質問に対する答弁でも論点を外して真向から答えられない人間が支持される訳がない。


公聴会制度の導入を要求しても受け入れられないのは明確である。しかし、少なく共自民党長崎県連の方式は制度化されて良いと思う。