食欲の秋、だが美味いものなし?


世界三大料理と称されるグルメがある。フランス料理・トルコ料理・中華料理を指すらしい。だが昨年秋に胃を切り取られた我が身にとっては寂しく響く。しかし、舌は健全なので口に入れれば美味いが以前のようにたらふく食べられた頃が懐かしい。


一方、「奈良に美味い物なし」との言葉があるように地方によっては食べ物の格差がある。私が仕事で英国に行った時、代理店の社長に「ベルギーで生まれて初めてムール貝のワイン蒸しを食べたが、その美味しさに驚嘆した。英国の隠れ名物料理は何か」と聞くと、「英国で食事の話はしないで欲しい。自慢出来るものは何もない。精々、貴方の好きなスコッチ・ウィスキーか紅茶を楽しんでくれ」と言われたことがある。


ドイツでも同じことを言われた。スコッチがモーゼル・ワインに代わっているだけである。そう言えば、ドイツはジャガイモとソーセージだけが自慢と言うが、私には早朝、ホテルの前にやって来た屋台で焼かれた焼きたてのパンの味は今でも忘れられない美味しさだった。それにデユッセルドルフのアルトシュタットでの自家製ビールの飲み歩きも。


我が国でも「美味い物なし」は何も奈良だけではないらしい。意外だったのは愛知もその仲間に入ると地元の人のブログで読んだことである。私には名古屋と言えば即、「キシメン」が思い浮かぶ程の好物だが、地元の人には意外と自慢にはならないらしい。他に私が名古屋で食べたもので羨ましいと思ったものに、「ひつまぶし」と何よりも「名古屋の手羽先」。甘辛く唐揚げされた絶品である。


ただ手羽先は簡単に食べられない、コツがあるのが難点と言えば難点だが、それを克服した時の達成感と味は何物にも代えられない。両手で手羽先を掴んで関節の部分を折って切り離す。身の多く付いている方をグルグル揉んで柔らかくしてから口に含んで一挙に引っ張るとスルリを柔らかい肉が口内に残り手許には骨が二本が残る。店の若いネイチャンが食べ方を説明したくれた、実験して見せてくれと頼むと「私は愛知の地方生まれで名古屋の産ではないのでうまく教えられない」と逃げられた。地元の人でもそれ程の高度な技術が必要な料理である。それだけに挑戦してうまく行った時の気持ちの良さは類がない。


それでも地元の人には自慢出来ない食べ物らしい。