日本人の賃金はいつの間にか世界最下位レベル



今日の朝日新聞デジタルの記事、「韓国に抜かれた日本の平均賃金」を読んで強いショックを受けた。我々の現役時代は、日本の賃金は世界第5位で働き過ぎ、貰い過ぎとの批判すら受けていた。当時のモノ造り大国であった日本は円高の影響もあって、価格的に国際競争力が低下し、生産能力があって労賃の安い韓国に製造拠点を移すのがブームとなった。


韓国はそのお陰で生産力が向上し、賃金も上がって労賃差の恩恵がなくなり、より低賃金の中国やベトナム・インドネシアなどに生産拠点を移すのがメーカーの間に広まり、大企業だけでなくその下請け工場まで引き連れて行ったのである。


「日本の賃金は高い」というのが日本人自身まで定着し、それが固定観念化して、その時代の現役層にはいつまでも通説として続いていた筈である。それがいつの間にかズルズルと落ち込み世界の最下位レベルとなっていたのには気が付かなかった。まるでプロ野球で万年首位と思っていた巨人ジャイアンツが、今年はBクラス入りを争っているようなものである。


朝日新聞は「アベノミクスでも低成長」と表現している。しかし、東洋経済紙では「アベノミクスだから、賃金が上がらず、しかも円安になったために、日本の労働者は国際的に見て貧しくなった。日本の企業が目覚ましい技術革新もなしに利益を上げられ、株価が上がったのは、日本の労働者を貧しくしたからだ。これこそが、アベノミクスの本質だ」とより踏み込んだ表現をしている。


良く言われているように、アベノミクスは大企業を富ませ、中間層や低所得層には目を向けなかった。「日本企業が技術革新もなしに利益を上げられ、株価が上がったのは日本の労働者を貧しくした」のは大企業が内部保留の名目で利益を貯めこみ、労働者に賃上げとして分配しなかったためである。これは、企業としてアベノミクスの恩恵を受けながら、その実アベノミクスに信頼を置いていないことを意味する。


それでも、岸田首相や高市自民党政調会長はアベノミクスの継承を叫んでいる。今の官邸や自民党幹部に我が国の多数を占める低所得層に全く目を向けていないことの証明である。