転がり落ちた先



「転ばぬ先の杖」という言葉があるが今日の話題は「転がり落ちた先は?」である。つまり、落とした物が中々見つからないことである。


最近の日本の生活形態は「畳から椅子」への変化である。ある日本料理の宴会場マネージャーがこぼしていたが、従来のように、ご自慢の豪華な分厚い座布団と座椅子を用意した日本間は敬遠されて椅子席を要望されるという。そんな部屋がなければ、畳敷きの日本間に低い椅子の準備を要求される例が多いらしい。用意出来なければ予約をキャンセルされるので、売り物の豪華な日本間にテーブルを持ち込んだ椅子席に替えざるを得なかった。まさに明治維新の西郷隆盛たちが利用した席の再現である。


実を言うと我が家も食事はDKのテーブル・椅子席である。これからの季節にふさわしい鍋物は従来の日本間の畳席が落ち着くのだが、加齢と共に膝が弱って座り込むことが出来なくなった末の止むを得ない変化である。上述の日本料亭の利用者の要望も高齢者の要望に応えざるを得なくなった事情が背景にある。


この生活様式の変化が今日の本題の落とし物の行方を困難にしている一因である。ダイニングルームだけでなく、不用意に落とした物を探し出すのは難しいものである。元々存在した場所から落ちた物がその真下に落ち着いていれば問題ないが、大概の場合は落ちた先から思わぬ先前で転がって行方不明になるので問題を難しくしている。


高山の岩登りで滑落した人の行方が分からなくなり、アルプスなど雪深い場所では翌年の雪解けまで見付からない場合が良く知られている。人間の身体のように大きな場合でさえこんな状態だから、家庭内の小さな物など推して知るべしである。


最も厄介なものは飲み薬で、最近の薬は大概丸薬で薄いプラスチックの中に一つ一つ小さな枠の中に収められており、指先でウラから押し出して取り出す方式のものが多い。指先の力が衰えた高齢者にはバカにならない仕事である。失敗すれば床の上に落としてしまう。元々丸い薬なので落としたら同じ場所に留まっていない。飛んでもない方向に転がって大抵の場合見付からない。大切な薬を一日分無くしてしまう結果になる。


こんな出来合いの丸薬でも、薬局から渡された明細書には「調剤料」の名目でカネを取られている。小石川養生所で薬草を薬研で磨り潰して上皿天秤の上で調剤する訳でもないのに納得の行かない出費である。転がり易いように作られて失くしてしまうデザインにも納得出来ない。




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