組織のトップの引責責任



自分の関知しないトラブルでも組織のトップになると監督責任を問われて折角築いた地位を失わされるのは一般社会の通例である。みずほフィナンシャルグループの会長、社長及び銀行頭取が今年2月以降8回ものシステム障害を起こした責任を取って辞任することになった。IT分野では全く知識がなく自分の関与していないにも拘らず責任を問われたのである。


半年もの間に8回もシステム・トラブルを起こし、都度再発防止策を作成して監督官庁に提出したが、技術的な防止策の内容すら理解出来ないのに責任を取らされたのは直接の原因となったシステム・トラブルのソフトやハードの精ではない。経営陣がシステムの保守費用を削減するなど、リスクや専門性、ITや営業の現場の実態を軽視していたこと。「言うべきことを言わない、言われたことだけしかしない」企業風土が真因であると経営面で不備を問われたのである。


再発防止策の内容は公表されないので、一般にはどんな内容かは判らない。みずほは旧富士や日本興銀など三行が合併した寄り合い所帯である。その中で指摘されているような企業風土は通常は歴史の古い組織で自然と生まれ育つもので、新しい組織では定着するとは考えられない。システムの保守費への資金投下は経営上の判断かも知れないが、その点だけを取らまえれば会社経理の運用だけで物理的に解決出来る筋合いのものである。


問題は三行が夫々別のシステムで運用していたのを統合した結果トラブルをもたらしたのであれば、やはりIT技術上の問題である。この点を徹底的に検証してトラブルの根源を究明し、対策を講じなければいくら指摘されている経営上の問題を追及しても問題解決にはならない。この分野を担当したと言われる富士通や日立の技術陣の責任を問うべきだろう。


しかし、企業内の社員の不祥事や技術上の欠陥で起きた問題の最終責任は、自分が直接関与してなくてもトップが責任を取らされるのは日本社会の通例である。しかしそれも官公庁や民間の組織に限られ、政界では適用されない。永田町では、自分が関与していても責任を痛感していると口に出しただけで責任をとらない、これも日本の政界での常識である。