平易な漢字だが何と読むのか



見た目は簡単な漢字だが、なんと読むか判らない文字が新聞紙上に出初めている。今まで明治・大正期の文豪の小説とか翻訳ものにもお目にかかったことがない。かと言って、新聞やテレビのテロップなどに頻繁に登場する訳でもない。表意文字とされる漢字の良いところで見た目で意味するところは判る。


その漢字は「真逆」である。


私がこの語に接したのは古いことではない。ごく最近、誰か評論家の新聞記事かネット上の表現だったと記憶している。テレビでは殆ど聞かなかったので、何と読むかは判らなかった。見た目で意味が判るのでそのままにしていたのである。


自分では「真っ逆さま」と読むのかと勝手に思っていたが、それでは送り仮名がついていない。ひょっとして「まさか」とか「しんぎゃく」かも知れないと考えていた。最近気になってネットで調べて見ると、いつ誰が言い出したのかは不明だが、精々2000年(平成12年)に入ってからとあるので、それでも20年の歴史がある。それまでは国語辞典にも載っていなかったらしい。2004年には流行語大賞にノミネートされたとの説明がある。


ただ、新聞や放送に出なかったのは正しい日本語の位置づけではなかったのである。今でも変わらないらしい。「まぎゃく」と読むのはやはりネット上の情報だった。ただ、パソコンで漢字変換すると「まぎゃく」でチャンと「真逆」と出るのが不思議である。


2011年の調査では、「真逆」と言う人は22.1%、言わない人は77.4%、年代別では「真逆」と言う人は16~19才では62.8%、20代で53.1%が「言う」と答えているが、50代では20%を切り、60代以上になると10%以下とあるので、若者言葉ということになる。


となれば、2チャンネル言葉のように日本語として定着せず、その内に消えてしまうかも知れない。新聞や放送でほぼ無視しているのは見識のある姿勢である。ましてや国会内や政治の世界で散見されるというのは、この面でも品格が疑われることになる。


「本の虫」とか「活字中毒」と言われた私が読めなかったのは沽券に関わる思いだったが、時代遅れと軽蔑されることもなさそうで安心した。