人知れず散る今年の桜



私の毎朝のウォーキングルートの途上、広大な田園地帯へ向かう出口に桜並木の小路がある。幅2メートル程で、左手に桜の古木が10本、相対する右手に棕櫚の並木が続く。隣町に住む私のグラウンドゴルフ仲間の先輩が、一人でこの小路の清掃管理をしている。


ウォーキングで通りかかると、殆ど毎日この先輩が小路の清掃や棕櫚の枝の剪定をしている姿に出くわす。棕櫚の世話はするが桜には殆ど手を付けないという。桜の枝を切ると切口から虫が入るというのが理由である。

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近江の開花は遅い。近隣府県で満開の声を聞く3月26日、上掲の写真のようにまだ蕾固しの状態だった。それが去る4月7日に満開となり、歩く時に頭を下げて通り抜ける程、小枝の先端が重く小路に垂れ下がる程になった。絶好の晴天にも関わらずこの肝心の時の写真が不出来でここにアップ出来ないのが残念である。


この時期、隣町の自治会では毎年「桜を見る会」が行われる。そのためか、小路の両側にベンチや椅子が年中ズラリと並んでいる。雨風に晒されて色褪せているが、この「桜を見る会」の当日朝には町民総出で拭き掃除をする。社会問題となった「桜を見る会」と同じ名前だが、こちらの会は破棄すべき招待者名簿はないとのことで自由参加である。但し、各自食料や酒類を持ち込んで歓談する。町民の重要なコミュニケーションの場として毎年心待ちにされている。


ところが今年は、新型コロナウィルス問題で中止になった。先輩によれば、この会が中止になったのは予定日の当日荒天だった時だけで、明るく青空が広がりこぼれるばかりに咲き誇る桜を目の前にして中止になったのは初めてという。


その中止になった当日、例によってウォーキングでただ一人満開の桜並木を掻い潜った。農道に出る出口で、先輩が箒を持って寂し気に立っていた。


千代桜 003.JPG 

そして今日、昨夜来の雨上がりの道をいつもと同じように通りかかった。先日の満開の桜は強い雨と強風のために一斉に散り果て、小路には花弁の絨毯が出来ていた。今年は見られる人の少ない中で、爛漫と咲き誇っていた名残りの跡であった。来年のこの時期には、皆んなで称賛出来る中で美しい姿を見せて欲しい。





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