知らない者同士の心の交流



京都アニメーション(京アニ)の惨事から昨日で二年目、今は更地になった宇治市の現場で追悼式が行われた。私は京都に長年住んでいたが、アニメは全く見ないので事件があるまでは会社の名前も事業内容も全く知らなかった。ましてやどんな作品を提供していたか全然知識がなかった。事件後、同社が日本だけでなく広く世界に進出し幅広いファンを持っていることを数多くの追悼報道で知った。


その中で、同社が発表した数々の作品の舞台となった場所が「聖地」と呼ばれ、多くのファンがお互いの連絡もなく訪問するのが一種のブームになっているらしい。「聖地」には交流ノートが置かれ、多くのファンが思い思いに感想を書いたり、京アニにエールを送る文章を書き綴っている。場所によっては50冊を超える所もあると言う。かかる交流ノートは京アニの「聖地」だけでなく観光地のどこにもある。私も多くの山小屋に置かれたノートに書き込んだことがある。他の同好の士の書いた文を読むのも楽しみの一つだった。


知らないもの同士の交流は何もノートに限ったことではない。私の勤務していた企業への新入社員の中で、短大を卒業したばかりの女性が初めての給料で念願のローバーミニを買ったと報告して来たことがある。勿論初任給で小型車と言えども著名な英国車が買える訳はない。入社した会社の名前でローンが認められたと言う。そのローバーミニのファンクラブが鈴鹿サーキットに集まって夫々の愛車を一斉に走らせるイベントに参加した。サーキット内で競争するのではない。同じモデルの車が集まって最高時速60キロで一緒になって走る、それだけの催しである。お互いに知らない者同士が口を利き合うこともなく一緒に行動する、それだけで意気高揚して興奮して帰って来た。


こんな心温まる話だけではない。今年の1月6日、ワシントンの連邦議事堂にトランプ支持者が一斉に押し寄せ襲撃した。内部施設を損傷し議長席を占拠するなど暴虐の限りを尽くした。最終的にトランプ氏の「愛を持って家に帰ろう」との呼びかけに暴徒が引き上げた事件もあった。トランプ崇拝という共通点だけで知らない者同士が結束する、こんな頂けない交流もある。





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