理屈より習慣が優先



今年は大晦日から新年にかけて、日本列島は大雪に見舞われると気象庁が注意を呼びかけている。寒い時や積雪のある時に自動車で出かける場合、多くのドライバーはスタートする5分から10分程前にエンジンを暖めるクセがある。実はこれが不必要な行為であると専門家は繰り返し述べている。

一昔前の車の駆動部にはキャブレターを使用していて、エンジンをスムーズに動かすには、良く暖めてやる必要があった。暖機運転と言われていたもので、冷え切ったエンジンを作動させるには必須の操作であった。1980年代から1990年代にかけて、自動車メーカー各社はキャブレターに代わってEFIと呼ばれる電子式燃料噴射システムを導入し、燃料と空気を最適の混合比率でエンジンに供給するセンサーを具備したのである。この結果、発進前に予め暖機運転をする必要がなくなった。にも関わらず、ドライバーは過去の習慣から抜け切れず、寒冷期に暖機運転していて、このムダなアイドリングによる燃料の損失は、全米で年間59億ドル(約6千億円)に上るとの調査結果がある(この項、ワシントンポスト電子版こちらより)。

若い世代でも、自動車に乗る時の常識として親達から教えられたことであり、理屈を考える前に必須事項として実行しており、それがクセになっているのである。

話は全く変るが、インスタント・ラーメンを煮る時やカップ・ラーメンに湯を注ぐと、食べごろになるのは3分経ってからというのが当たり前になっている。どのメーカーも競って新しい即席ラーメンを開発したが、いずれも3分間で出来上がりと言う点では共通していた。テレビCMで、子連れ狼の扮装をした笑福亭仁鶴が、木製の乳母車に乗った大五郎に、「3分間待つのだぞ」と言っていたのは誰もが知っている。従って、誰もがインスタンートラーメンの調理は3分間というのが頭に叩き込まれていて、袋やカップに書いてある調理法のマニュアルなど、誰も読む必要がなかったのである。ところが、ある商品で”どうも麺が硬いな”と不審に思って調理法を綿密に読むと、3分で出来上がる筈が4分とか5分と書いてあるものも出てきた。大多数の人は、不審に思いながらも3分調理しただけで食べている人がいる筈である。

袋入り即席麺では、3分煮込んだ後で粉末スープを入れるのも共通した調理法だった。それが今では、「予めお鉢にスープを入れておいて」など、方法が変っているものもある。それでも、知らずに従来通りの方法で調理して食べている人がいる。いずれも、調理法のガイドを読まずに、従来の慣習に従って機械的に処理しているのである。

サントリーのオンザロックのCMで、「グラスに氷を一杯入れて、適量のウィスキーを注ぎ、13回半掻き回すと氷がグラスに馴染んでくる」と言うのがあった。実験的に13回半が最も良いらしい。水割りとかロックで飲むウィスキーが好きな私は、この13回転半というのが確定してしまった。その後、お湯割りの焼酎やウィスキーでも13回半、コーヒーに砂糖を入れて飲むのも同じ回数掻き回すのがクセになった。氷がグラスに馴染む温度とは関係のない、単なる機械的な動作になってしまっているのである。

意味のないことを無意識でやっているのは、他にもいくらでもあるに違いない。



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