文字通り前世紀の遺物

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多くの女性は、自分の宝石など貴重な装飾類を、殆ど使わないで小箱に入れたままにしているものがあると言う。利用価値がない訳ではないが、使う機会がないらしい。私の本棚の定位置を占めて動かない“POD”もその類である。

Pocket Oxford Dictionaryのことで、英語学習者の多くが持っていた。別に“COD”と呼ばれたConcise Oxford Dictionaryのポケット版で、私のはその第4版(1957年版)である。珠玉の辞典で傑作中の傑作といわれ、「“POD”史上最高」と謳われた第5版の一世代前のものである。1961年に京大近くの古本屋街で購入した。

最新版は第11版と聞くが、お目にかかったことはない。ある学者の評では、「第6版では小規模に、第7版以降では大規模に“改悪”され、現行版ではもう見る影もない。これは文化の破壊の最たる例である」とあったのを事後に知って愛着を深めた。

紙質はザラ半紙に近く、同時に持っていた三省堂の英和辞典のようなインディアン紙の良質なものではなかったが、判りやすい例文で多いに重宝したものである。現役サラリーマンの時にも必要だったが、流石に事務所に置くのは先輩から生意気と見られる気がして自宅から持ち出しはしなかった。

何しろ前世紀の出版である。現代用語などには対応出来ない。自然に本棚に置いたまま動かなくなった。今ではネット上の英々辞典が頻繁に改訂されている。一ヶ月前の新語の“Brexit”なども早々に登場している。今では字が小さ過ぎて読み辛くなった“POD”の存在意義がなくなった。

それでも女性の大事な宝石と同じである。学生時代の香りが立ち昇って来る。使わなくても処分出来ないのである。






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