歌に変えられる日本語



ある民放テレビで面白い番組を放映していた。局アナが「保安」と書いたフリップを持って街頭に立ち、道行く中高生に読ませるのである。東京と名古屋での収録では皆“ホアン”と読んだのに対し、大阪では殆どが当たり前のような顔をして、“ホウアン”と発音したのである。この読み方はどこから来たのか。

民放の関西圏エリアだけに放映される関西電気保安協会のCMに、“カンサイデンキ ホウアンキョウカイ”と唄われる場面が頻繁に出て来る。短くリズミカルなフレーズで「保安」の字も同時に映し出されるので、これが誰にでも自然に頭に入っている。関西圏の人にはお馴染みだが、こんなCMである。



歌謡曲の作曲では、標準語で右下がりに発音される言葉には、メロディも右下がりにするのがルールでありマナーでもある。これを喧しく提唱したのが古賀政男だったと言われ、その後の名作曲家と言われた人達もこれを継承していた。試みに昭和のどんな歌謡曲でも歌って見れば思い当たる。

歌が失くなったと嘆かせる現代の絶叫型の歌では完全に無視され、かかるルールを知らない若い作曲家がいるらしい。関西電気保安協会のCMもその影響であろう。

作曲家がルールに則った歌を作っても、歌手が勝手にアドリブを入れた歌い方をする曲もあった。例えば、藤山一郎は「丘を越えて」で“♪真澄の空はほがらかに晴れて・・・”と唄い、ザ・ピーナッツは「シャボン玉ホリデー」のオープニングで、“♪リズムに乗せて、飛んで来るのね・・・”と小さくァを入れて調子をとった。それでも美しい日本語は崩さなかったのである。





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