身振りが目立つピアニスト


クラシック音楽の演奏を聴くのに視覚は要しない。演奏振りや音色、曲の解釈に聴き入れば良い。ただ、演奏会場ではどうしても演奏家に目が行く。特に、身振りや顔の表情が派手な場合は、折角の演奏の印象が希薄になる。バイオリンやチェロのソリストには見られないが、何故かピアニストに顕著な演奏家がいる。

昨年亡くなったピアニストの中村紘子がそうだった。何度も京都で演奏会を行ったので、良く知っている。首を上下・左右に大きく振るだけでなく、自分で自分の演奏に陶酔しているような表情を示す。彼女の演奏家としての初期の頃から聴いており、自分の演奏の未熟さを身体の動きでカバーする、いわば英会話の未熟な人がボディ・ランゲージで補うのと同じと思って、最後まで好きになれなかった。

欧米から来日のヴィルヘルム・ケンプとかパウル・バドゥラ=スコダ、イングリッド・ヘブラーなど大家の演奏会に出席し、映画「カーネギー・ホール」に綺羅星のように出て来る巨匠の演奏振りを見ると、ひたすらに鍵盤を見つめて演奏するだけで身振り表現は何もない。従って、聴く方も音楽に専念出来たものである。

最近は、これら大家の演奏もYouTubeで見られる。それまでラジオとCDから立派な演奏と思っていたピアニストが、大袈裟なボディ・ランゲージの結果と判ってガッカリした演奏家がいる。その最たるものは内田光子で、それまで打鍵の強さや正確な音程で好きだったが一挙に熱が醒めてしまった。他にラン・ランや辻井伸行も同様である。音楽を聴いて恍惚とするのは聴衆の方であり、演奏するご当人ではない筈である。





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