今日読み終わった本―「新聞の嘘を見抜く」


今日読み終わった本:

『新聞の嘘を見抜く』 徳山喜雄 平凡社新書 2017年9月

新聞報道は平等が鉄則である。一方、報道には公権力の監視、権力監視機能という社会的役割がある。監視とは権力が国民の立場・利益を守る方向に運営されているかを“公平に”見守ることであるが、その観方がメディアにより異なり論調が分かれる。

筆者は、日本に二極化現象があり、一つのグループが「朝日・毎日・東京新聞」、もう一方が「読売・産経・日経新聞」と区分し、本来は個々のテーマ毎に主張・観測が入れ替わる筈なのに、両グループが常に対立する二元論的な報道になっているとしている。前者がリベラル系として権力に批判的、後者が保守系と称して権力に対して支持・擁護的立場で二極化現象を起こしている。

本書の題名の「嘘」とは、最近流行りの“フェイク(事実でない作り話)ニュース”の意味ではない。ガセネタ・ニュースの見抜き方ではなく、対立する両者の論調から、世論を誤った方向に誘導する記事を読み解く方法を示唆したものである。そのために、特定の新聞だけでなく、例えば朝日と産経、日経など少なくとも三社の読み比べを薦めている。本書ではいくつかの例を挙げているが、なるほど報道内容に差があることが良く判る。例えば、集団的自衛権の解釈改憲の強硬採決に対する安倍政権に反対する住民運動を、リベラル系が大きく取り上げ報道したのに対し、保守系メディアは無視して紙面に載せなかった。世間に知らせない内容も「嘘」として、この事実は異なった新聞を読み比べないと判らないとしている。

最近の若者の新聞離れ、インターネットやスマホの普及で新聞購読者が年々減少し、新聞社は経営難に直面している。米国では、地方の小都市の新聞社が閉鎖し取材に来なくなった自治体が急増、公権力の監視の空白地帯が出来ている。カリフォルニア州の小さな町では、市の行政官が自身の報酬を十数年で12倍、オバマ大統領の給与の2倍に引き上げた。これを糾弾する地元紙がなく、たまたまやって来たロサンゼルス・タイムスの記者が聞き込んで記事にしたため発覚した。新聞報道が如何に社会の不正を正す力があるかの一例である。

本書はこのような興味ある事例を集約し、如何に報道機関を守るかを訴えている。久し振りに接した好書だった。こんな本があるから読書は止められない。







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