今日読み終わった本―「竜馬がゆく」



今日読み終わった本:


『竜馬がゆく』(1)~(8) 司馬遼太郎 文春文庫 199810


前に読んだと思いながら、ストーリーを良く覚えていないので再度読み始めた。生来の多読乱読でそんな本はいくらでもあった。読んでいる内に、忘れていた筈の下りや表現に接し、「あぁ以前に読んだことがあるな」と思い出すことも良くあった。ところが、この作品にはそんな場面が出て来ない。作品のタイトルから当然読んでいたと思っていたのが実は読んでいなかったのである。ベストセラーとしてもてはやされる作品に限って読まなかった天邪鬼的な性分の影響かも知れない。


「司馬史観」という言葉がある。世間一般の通説とされていたのを覆すことで、有名なのは軍神と崇められる乃木希典元帥を「坂の上の雲」の作品の中では、全く能力のない凡人で、日露戦争中兵士を沢山死なせた人間として描いている。事実かどうかは別として、私はこんな歴史を別の角度から見るのは好きである。歴史上、極悪人とされている伊達家の原田甲斐を山本周五郎が「樅の木は残った」で忠臣と描いたり、逆賊足利尊氏を時代の革命児として取り上げた吉川英治の「私本太平記」は私の好きな作品である。


坂本竜馬を偉人として取り上げたのは、実は司馬遼太郎のこの作品の影響が大きいとされている。現に「坂本龍馬はいなかった」という本すらある。人物としては実在していても、薩長同盟や大政奉還は竜馬の功績と言われているが、実は他の人物の成果を竜馬に置き換えたとの説である。有名な船中八策もフィクションで原文は残っていないとの研究発表もある。


事実、司馬遼太郎もこの小説で、薩長同盟は竜馬がやったとの立場であるが、物語の推移では中岡慎太郎が全てお膳立てして、最後に竜馬が桂小五郎を説得、成立したと描写している。


他にもある。この小説では竜馬が宮本武蔵を凌ぐ剣豪で、千葉道場の師範代だったとしている。この剣豪が物語の中で活躍する場面が多いが、ではその剣豪が何故簡単に刺客に暗殺されたか、事件当時竜馬は刀を別室に置いていたと剣豪らしからぬ原因で殺されたことになっている。


この小説では、竜馬が五箇条の御誓文の原案を作り、維新以降の日本の政治体制は全て竜馬の発案によるとしているが、これを「司馬史観」と見るか、単なるドラマと見るかは読者の解釈である。




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