読者を動かす報道記事を




感染力がより強い変異株の蔓延もあってか、新型コロナの感染者数や死者の数が急上昇し、4月29日には大阪で新たに確認された感染者数は3日連続1000人超の1172人、死者は1日としては過去最多の44人を記録した。東京でも感染者1027人で3ヵ月ぶりに1000人を超えた。


検査件数の違いもあるが、日本は他国に比べて人口比で感染者数が少ないので感染する確率が格段に低い安心感があってか、また長期化する巣籠り生活からの解放を求めて、政府や自治体の外出自粛要請を無視する人々が増えている。緊急事態宣言が出された東京や大阪での人出減の調査結果では前回に比べ反応が鈍いとの報告もある。その結果、次のような記事が出た(毎日新聞4月29日朝刊)


大阪府によると、50代以下の重症者は、第3波(2020年10月10日~21年2月28日)では201人で全年代の重症者(1148人)の17.5%。一方、第4波(3月1日~4月26日)では50代以下は261人で全年代(758人)のうち34.4%に上った。全年代の死者に占める50代以下の割合も増えており、第3波では1.9%だったが、第4波では8.0%で大幅増だった。


この記事で言いたいのは、最近の急激な感染者増は若い年代に重症者が増えている事実である。第3波の時にはこれを『若い世代は感染しても重症化することは少なく、直ぐ治るので風邪を引いた程度の自覚しかない。従って、行政の自粛要請にも従わない。しかし、感染すれば重症化し死亡しやすい高齢者に感染させる役割を果たしている』(注1)と報じた。


事実、本4月30日毎日新聞の朝刊で、『大阪府は29日、新型コロナウイルスによる1日あたりの死者が、過去最多の44人になったと発表した(中略)。年代別では、80代以上が27人▽70代11人▽60代3人▽50代2人▽40代1人――だった』とこれを裏付けている。


しかし、2つの記事ともに単なる数字の羅列で、多忙で数字に弱いと言われる現代世代には読み過ごされて頭に入らない。新聞記事とは確かに事実を報道することにあり、双方の記事ともにそれを満足している。しかしジャーナリズムには一方で社会を動かす責務も担っている。上記「(注1)」の記事のように読者に受入れられ易い解説記事を加え、若い世代の行政の要請を無視した無責任な行動がコロナ感染者や犠牲者を増やしていることを訴え、社会全体で感染者減に取り組むよう訴える報道をすべきである。