コロナ流行下のオーケストラ



昨年6月、英国の二大指揮者であるサイモン・ラトル(ロンドン交響楽団)とマーク・エルダー(ハレ管弦楽団)が連名でガーディアン紙に「コロナ・パンデミック下では英国交響楽団は生き残れない」と題した公開状を寄稿した。交響楽団だけでなく、クラシック音楽界に従事するアーティスト達は演奏会の取消しによる収入源を失い、500年以上に亘って継承されて来た民族の文化遺産であるクラシック音楽の存続が絶望的になる。世界の指導者はこの現状救済のために格別な方策を講じて欲しいとの切々たる訴えであった。


ガーディアン紙はこの投稿を一年以上に亘って削除せず今でも閲覧に供している(こちら英文)。


モーツアルトやベートーベンなどを過去の遺物として消失させるのでなく、人類の優れた文化遺産として、或いは日常の生活・教養・修養のために将来に亘って子孫に継承すべきものである。ピアノ独奏会やバイオリンとピアノのための演奏会などは、演奏家が少人数のためステージの上での感染防止対策は容易だが、従来のような多数の聴衆を一堂に集めることは出来ない。100人近い演奏家が狭いステージに集まって演奏するオーケストラは尚更のことである。


それでも世界ではテレビなどの映像メディアなどを駆使して、聴衆なしでも演奏会を継続させる努力が払われている。昨夜はメンデルスゾーンの交響曲第三番が聞きたくなり、パソコンに保存しておいたYouTubeを選択すると、いつも聞いているオーケストラのサイトの右横に羅列されているサムネイルの中に、パーヴォ・ヤルヴィ指揮のチューリッヒ・トーンハレ管弦楽団の演奏があるのが目に付いた。好きな演奏家でもあるので初めてクリックすると今年4月20日にアップされた新しいものである。それでも既に12000人を超える視聴がある。


普段の通り指揮者が現れてオーケストラ全員を起立させ聴衆に向かって深々と頭を下げるが普段の割れるような拍手が聞こえて来ない。音声の不調かなと画面を見ると聴衆席は無人である。弦楽器パートは全員黒いマスクをしているが、管楽器はマスクをする訳にはいかない。ステージの最上段にマスク姿のティンパニー奏者の横に二人のトランペッターが座っている。唾が飛びやすい楽器だからだろう。指揮者のパーヴォ・ヤルヴィもマスクなしだった。この指揮者は元々口許の動きで表現するからだろう。


コロナ禍で初の録画だった。この楽団のいつもの名演奏を満喫した。




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