良く利用した会社の保養所が流された?



まるで津波が押し寄せたような熱海の土石流の光景をテレビニュースで見ていて、現場が熱海市の伊豆山地域とのアナウンサーの声に仰天した。勤務していた会社の厚生施設の保養所「熱海荘」があった場所なのである。


慌ててグーグルのストリート・ビューとテレビニュースで映し出される現場近辺の光景を交互に見比べた。テレビニュースに表れるいろんな惨状を伝える光景が映し出されるが、その中に見慣れた建物や道路に見覚えのある映像がある。まさしく「熱海荘」の近くである。


「熱海荘」はJR熱海駅から1.5kmの距離にあった。タクシーで行く場合もあったが、大抵は同僚と喋りながら徒歩だった。熱海駅前通りを左に曲がり国道135号に出る。そのまま国道を道なりに沿って行くと右手海岸に水葉亭という大きなホテルがあり、やがて逢初橋に出る。バス停があり、ここから左へ少し坂を上ったところが「熱海荘」だった。熱海駅から徒歩15~20分である。今回の土石流はまさにこの逢初橋を通って伊豆山港へ達したようである。


東京勤務の頃は、支社の囲碁部合宿の定宿だった。定時退社が出来た部員はJR在来線の快速で先行したが営業職が多いため後続者は新幹線で追いかけた。私はいつも後続で「熱海荘」に着くと先行者は先に温泉に入り麻雀をして待ち受けていた。後続車も麻雀の魅力に負けて囲碁の合宿が麻雀の合宿に化けることもあった。麻雀をやらない者同士が横で囲碁をやるのが通例だった。


「熱海荘」は東京支社だけでなく、京都本社や地方の支店も良く利用し、当時の社員で利用したことがない社員はいない程の人気保養施設だった。何しろ熱海という観光の一等地で宿泊料金だけでなく、新鮮で豊富な魚介類、おまけに良質な温泉がウソのような安い料金で利用出来た。欠点は浴室が一室しかなく男女の利用時間が指定されていること(家族利用者のみ混浴可)と国道に近いため夜を徹して走る車の音に悩まされることであったが、誰もがしこたま飲んだ後なので熟睡出来た想い出がある。


多くの同僚から「熱海荘」の安否を心配するメールが行き交っている。誰もが夫々の想い出を抱く人気保養施設だった。