名前の漢字



デビュー直後の美空ひばりが「私は街の子」や「東京キッド」を歌っていた時は小学5~6年生の可愛い少女だった。春先に畠から囀りながら舞い上がって雲間に消えて行く可愛い「ヒバリ」を連想させる可憐な芸名を貰ったが、齢を喰って成人やバアサンになって「ひばり」では気持ち悪いではないか。どんな名に替えるのだろうか、それともプロデューサはそんな長い間現役が続けられると思っていなかったに違いない。結果はバアサンになって死ぬまで「ひばり」で通したが、その時は可愛い小鳥のイメージは完全に吹き飛んでいた。


「名は体を表す」という言葉がある。名前は多くの場合は我が子の将来像への願望を込めて親が選んだものである。ただ、その名は得てして流行に沿ったものが多い。「國男」とか「勝男」という名前は戦時中に生まれた男性に多い。「美智子」は今の上皇妃が当時の皇太子妃としてご成婚され、平民から初めて皇室入りした時に生まれた女の子にこぞって名付けられた。西暦2000年に入る直前からキラキラネームがブームとなり、今年のオリパラ大会でメダル獲得ラッシュの主役になる程にまで成人した。


このキラキラネーム、人より目立つよう名付けた親の願望にも関わらず成長した子には、漢字の持つ本来の意味や読み方をしないため、むしろ社会でハンディを背負うことが多い。そのため、本人の意思で改名するケースが増えているという。徒然草にも「人の名も、目慣れぬ文字を付かんとする、益なき事なり。何事も、珍しき事を求め、異説を好むは、浅才の人の必ずある事なりとぞ」と兼好法師が指摘するように、親の学力の低さ、知能レベルの低さから来ているとの教育界の調査結果もある。


かてて加えて、最近日本人は字を書かなくなった。漢字はパソコンやスマホが勝手に漢字変換してくれる。「読めるが書けない都道府県名ランキング」に、順位は覚えていないが、愛媛・新潟・岐阜・栃木の他、我が滋賀が入っていたのにはガッカリした。使用頻度の少ない漢字が入っている精もあるが、平易な漢字の「大分」も入っていて驚いた。大体、これで「オオイタ」と読ませる方が間違っている。「茨城」を関西の人は「茨木」と書く人が多いとの結果もあった。


日本人が外国語に弱いのは、漢字を覚えるために精力を消耗してしまうためとの指摘もある。